【経歴】
平成5年3月、東海大学医学部卒業
平成5年より3年間、胃腸科・一般外科を鍛練し、
平成8年より一般的な皮膚科診療をはじめ、内科・アレルギー科と患者様に接している。
皆様、『褐色脂肪細胞』という言葉を聞いたことはありますか?
ダイエットや美容に詳しい方には、お馴染みのキーワードかもしれませんね。
摂取エネルギーが消費エネルギーより多ければ肥満に傾き、少なければ痩せに傾きます。
ただ、肥満遺伝子同様に痩せ遺伝子を有する人もいるため、食べても太らない人がいます。
人間の体内に存在する脂肪細胞には、白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞の2種類があります。
それぞれについてご説明していきます。
白色脂肪細胞は全身のあらゆるところにあり、とくに下腹部、お尻、太もも、背中、腕、内臓まわりなどに多く存在しています。体重がそれほど多くなくても、下腹部やお尻、太ももの太さが気になる人は、これらの部分に白色脂肪細胞が多いためです。体内に入った余分なカロリーを中性脂肪の形で蓄積する働きがあります。
白色脂肪細胞は、母親の体内にいる胎児の時や生後1年間、思春期などに特に増えますが、それ以外でも食べ過ぎが続くことによって増えます。
褐色脂肪細胞は、首、脇の下、肩甲骨、腎臓付近と、限られた部分にしかありません。体内に蓄積された余分な脂肪を熱に変え、体外に放出し体温を上げてくれる働きをしてくれます。つまり、この褐色脂肪細胞がきちんと働いていると、脂肪が燃焼されやすく、痩せやすい身体になるのです。
褐色脂肪細胞は、幼児期には多く存在しますが、成長期に入ると少しずつ減少し、その量は幼少期の約半分以下に減少してしまいます。褐色脂肪細胞は減ることはあっても増えることはないのです。年齢を重ねるとともに身体に脂肪がつきやすくなるのは、褐色脂肪細胞が減ることも大きな要因です。
そのため、わずかな褐色脂肪細胞に最大限活躍してもらうことが、痩せるコツなのです。
痩せ遺伝子は褐色脂肪細胞の数(もしくは質)で決まります。しかし、褐色脂肪細胞の数が多くても処理能力には限界があります。確かに痩せ遺伝子を有する人たちはエネルギー=発熱を発汗で代償しているので太りにくくできています。
褐色脂肪細胞を増やすことはできませんが、努力次第で活性化させることは可能です。
それでは、褐色脂肪細胞を活性化する方法についてご紹介していきましょう。
身体に熱を与えると、ヒートショックプロテイン(HSP)という傷んだ細胞を修復する働きを持つたんぱく質が増えます。これが褐色脂肪細胞の活性化に有効なのです。
効果的な方法としては
・熱めのシャワーを肩甲骨付近に30秒程かける
・温かいお湯と水を交互に浴びる温水法
がありますので、ぜひ試してみてください。
難しいストレッチをおこなわなくても、肩を回すだけでも効果的です。
常に褐色脂肪細胞を刺激することを意識しながら、毎日継続的におこなうことが大切です。
姿勢が悪くなると肩が丸くなり、血行が悪くなります。肩甲骨付近も固まり、褐色脂肪細胞がうまく働いてくれません。 正しい姿勢にするだけで、褐色脂肪細胞が活性化し痩せ体質を導いてくれます。
低体温や冷え症は、身体の不調をもたらすだけではなく、褐色脂肪細胞の働きを鈍くします。身体を温める食事や、普段から冷やさない工夫をして、褐色脂肪細胞を活性化しましょう。
すぐにでも始められることばかりですので、褐色脂肪細胞を減らさないために、褐色脂肪細胞を活性化させる生活を心がけて痩せ体質を目指しましょう!
しかし、褐色脂肪細胞の活性化は痩せる体質の一つに過ぎません。カロリーオーバーが続けば体重増加してしまいます。なんでもバランス良くですね。