「GI値」という言葉を聞いたことはございますか?
GIは、Glycemic Index(グリセミック・インデックス)の略で、食後の血糖値の上昇度を示す指標のことです。食品に含まれる糖質の吸収度合いを示し、食事をしてから2時間までに血液中に入る糖質の量を計ったものです。
私たちが日々生活するにあたり、欠くことができない栄養素のひとつが「糖」です。通常、食べ物が口から入ると、食道を通り、胃や小腸で消化され、ブドウ糖として血管内に吸収されます。そのブドウ糖が脳をはじめとした各組織に送られてエネルギーとなります。
そして、ブドウ糖が増えることで、すい臓からインスリンが分泌されます。健康な人ならインスリンが十分に働いて、食後2時間程で食べる前と同じ値まで戻ります。
インスリンの分泌量は、血糖値の上がり具合によって変化します。多くの糖を摂取した場合、インスリンが過剰に分泌されます。インスリンは脂肪合成を高め、脂肪分解を抑制する力をもっているため、組織で脂肪が蓄積されやすくなります。溜めこまれた糖は脂肪となって、結果的に“太る”というわけです。
インスリンの分泌が少ない、分泌のタイミングが遅いなどの理由から、うまく血糖の処理ができなくなると、血糖値が下がらなくなります。食後数時間経っても、血糖値が下がらない状態が慢性的に続くのが、糖尿病です。
インスリンを過剰に分泌させないこと、つまり「血糖値を急激に上げないこと」が、食べても太りにくい状況を作り、ダイエットの一つにもなるわけです。
ここで「GI値」を利用していただきたいのです。
一般的にGI値の低い食品は、血糖値が急激に上がることの抑制効果が期待できる食品といわれています。逆にGI値の高い食品は、血糖値を急に上げてしまうことになります。
食品に示されるGI値は、70以上の食品を高GI、55〜70の間の食品を中GI、55以下の食品を低GIと定義しています。
・低GI食品
お蕎麦・玄米・野菜(レタスなど葉物、きのこ、大根、ピーマン、ブロッコリーなど)・海藻・ナッツ類・牛乳・乳製品(ヨーグルト、チーズなど)・果物(りんご・いちご)など
・中GI食品
うどん・パスタ・さつまいも・肉・魚・卵・プリン・ゼリー・アイスクリーム・果物(パイナップル、バナナ)など
・高GI食品
白米・パン・野菜(人参・かぼちゃ・じゃがいも)・フライドポテト・おせんべい・クッキー・チョコレートなど
※ 各食品とも調理法等によってGI値が変化しますので、あくまでも目安として参考にしてください。
GI値が高い食品を食べると、一気に血糖値を上昇させるため、血液中の糖の処理に多量のインスリンが分泌されたり、分泌が追いつかなくなるということが起こります。
GI値が低い食品では、糖が穏やかに取り込まれ、血糖値の上昇もゆるやかになります。そのため、インスリンも分泌しすぎることなく、糖はすみやかに組織に吸収されていきます。
しかし、GI値の低い食品ばかり摂っていては、なかなか満足感を得られません。そこで食べ方や食品の組み合わせで違ってきます。高GI値の食品でも、食物繊維を多く含む低GI値の食品と取り合わせることで、全体のGI値軽減につながる効果が期待できるといわれています。
同じものを食べるとしたら、ダイエットや健康に良い食べ方が良いですね。
食べる順番を工夫することが大切です。順番としては、GI値が低い食べ物から順に食べていきましょう。
また血糖値を急上昇させない食生活が糖尿病予防につながりますので、日々の食事を楽しみながら予防していきましょう。
【経歴】
平成5年3月、東海大学医学部卒業
平成5年より3年間、胃腸科・一般外科を鍛練し、平成8年より一般的な皮膚科診療をはじめ、内科・アレルギー科と患者様に接している。