Vol.50 満腹中枢
健康やダイエットのために、食欲をコントロールすることはとても重要なことです。
満腹中枢と摂食中枢
食欲をコントロールしているのは、脳内の視床下部にある満腹中枢と摂食中枢です。
満腹中枢
食べるのをやめるように命令する中枢。
食事から摂取した栄養分が分解されて、血糖値が上がり、血液中のブドウ糖の濃度が上がることで満腹中枢が刺激されます。満腹中枢は、血糖値の上昇を感知し、身体にとって必要なエネルギー量かどうかを判断します。そして、「これ以上のエネルギーは必要ない」や「エネルギーの摂取は十分である」と判断すると、脳の命令で食欲が抑えられます。
摂食中枢
食べるのを命令する中枢。
様々な活動により体内のエネルギーが消費されると血糖値が低下し、空腹になると体内の脂肪が分解されてエネルギーを作り出そうとし、脂肪酸が遊離します。この脂肪酸が摂食中枢を刺激することで、お腹が空いたと感じ、食欲が湧いてきます。
満腹中枢と摂食中枢、この二つは表裏一体であり、どちらか一方だけでも、食欲の抑制はうまくいかなくなります。
満腹中枢を刺激する方法
食欲をコントロールするためには、満腹感を感じて食欲を抑えることが大切です。
血糖値の上昇は食事を始めてから20分ほどかかるので、この間に必要以上に食べてしまうと、満腹中枢から満腹感の信号が出される前に多量のエネルギーを摂ることになってしまいます。早食いの人が太りやすいのはこのためです。
ダイエットをしている人は、よく噛んでゆっくり(約20分かけて)食べることを心掛けましょう。
よく噛んでゆっくり食事をするためには
・歯ごたえのある食材を使って料理をする
・食材は大きめに切る
・食事はゆっくり時間をかけて食べる(家族や友人と食卓を囲む)
・食事のおいしさを意識して食べる
よく噛んで食事をすると脳が刺激されて、食欲を抑える「ヒスタミン」という物質が分泌されます。通常の食事だと20分前後で満腹感を感じますが、よく噛むことでいつもよりも少ない量の食事で満腹感を得ることができ、食べ過ぎを防止することができるのです。
また、ゆっくり噛んで食べることは、消化改善、味わうことで濃い味を控えられる、歯の強化、生活習慣病予防などの効果や顔の引き締めにも期待ができます。 一口30回よく噛んで食べましょう!
咀嚼についてはこちらも併せてご覧ください。
vol.48『咀嚼』について