Vol.53 肥満遺伝子
皆さまの中にこんな方はいらっしゃいませんか?
「どんなに食べても全く太らない」、逆に「そんなに食べていないのに太りやすい(なかなか痩せない)」という方。
ご自身がそうでなくても周りの方からそのような話を聞くこともあると思います。
太りにくい、痩せにくいなどは、「遺伝子」に違いがある可能性があります。
実はほとんどの日本人が肥満遺伝子を持って生まれてきています。
基礎代謝の平均は、男性1500kcal、女性1200kcalといわれていますが、持っている遺伝子によって基礎代謝に差がでてきます。
1994年に「肥満遺伝子」が発見され、体内に大量の脂肪を蓄積する能力は遺伝することがわかってきました。
体型・代謝に関係する遺伝子は、現在約100種類近く確認されています。
そのなかでも、肥満関連の遺伝子は主に3つに分類されます。体型に影響の強いと推測される下記3因子は、自宅で気軽に検査が可能となっており、いくつかの遺伝子は簡単に検査できます。
肥満遺伝子の特徴
●β3アドレナリン受容体遺伝子(β3AR)
・別名「倹約遺伝子」ともいいます
・日本人の約30~40%が保有し、基礎代謝が1日200kcal低い
・お腹周りが太りやすい(りんご型体型)
・糖質の代謝が悪い
・糖尿病、高脂血症、脂肪肝に注意
・男性に多い
⇒糖分を代謝しにくいため、低炭水化物ダイエットが効果的
●アンカップリングプロテイン1遺伝子(UCP-1)
・別名「脱共役たんぱく質1」ともいいます
・日本人の約25%が保有し、基礎代謝が1日100kcal低い
・下半身が太りやすい(洋ナシ型体型)
・脂肪の代謝が悪い、痩せにくい
・がん、子宮系の病気に注意
・女性に多い
⇒脂質で太りやすいため、それらを控えるのが良い。運動をおこなって筋力アップをおこなう方が効果的
●β2アドレナリン受容体遺伝子(β2AR)
・痩せ体質の遺伝子(逆肥満遺伝子)
・日本人の約16%が保有し、基礎代謝が1日200kcal高い
・ほっそりしていて、筋肉がつきにくい
・一度太ると大変痩せにくい
・心臓病、低血圧などに注意
もし、肥満遺伝子を持っているとしても、痩せられないわけではありませんので、諦めることはないですよ。
肥満の原因は、遺伝が3割、生活習慣(環境)が7割と言われていますので、まずは生活習慣のゆがみを正すことがより大切です。生活習慣の改善でダイエットは十分に可能です。
また自律神経のバランスが崩れると、体内の脂肪の燃焼と貯蔵をコントロールしている交感神経の働きが低下し、脂肪が燃えて熱に変わる機能が落ち、痩せにくくなり、結果として肥満の原因になります。よってストレス発散などもダイエットには必要です。
自分の体質を知り、効果的にダイエットを行うことが一番です。遺伝だからと諦めず、食べ方の工夫など行ってみてください!